石坂産業株式会社は、建設系廃棄物の減量化・リサイクル化において日本トップクラスの技術を有する企業です。また、緑豊かな三富地域(三芳町)に立地する条件を生かして、自然林や生態系等の環境保全に努めるなど地元への貢献も積極的に行っています。
同社のリサイクル工場や三富の歴史・文化を五感で体験できる「里山アミューズメントパーク『三富今昔村』」には国内外から多くのお客様が訪れており、顧客サービス向上のためにおもてなしの実践にも力を入れています。
今回は、常務取締役の石坂靖子さんと経営企画室室長の熊谷豊さんにお話を伺いました。
Q おもてなしの取り組みを始めたきっかけを教えてください。
A 以前から産業廃棄物処理事業のイメージを良くして地域と共存していきたいと考えていました。そのためには従業員が地域の方と接するときに、マナーがある、品格がある、あいさつができることが必要だと思ったのがきっかけです。
過去に工場から粉塵や騒音を出さないように周囲に壁を作ったことがありますが、廃棄物処理について悪いイメージを持っている方から、中で何か悪いことをしているのではないかと疑われたこともありました。
そのようなこともあって、壁を取り払ってしまい、地域の皆様にオープンにする「見せる工場づくり」を始めたのです。
Q 社員の教育はどのように行っていますか。
A まずはあいさつが基本です。あいさつができない社員を見つけると、なぜあいさつをしないのか、と社長自ら指導します。最初は声が小さくても良いから頭を下げてあいさつをする、次は相手に伝わるように大きな声で、それができたらあいさつの後に一言添える、という風に段階的に指導しました。
弊社では、新人会や同期会などいろいろな会合で社長と社員が直接接する機会を設けています。例えば、新人会では社長と新入社員が足湯に入りながら話をするという企画もありました。立場や役職を超えて社員同士のコミュニケーションを図ることが大切だと考えています。
Q 工場見学について教えてください。
A 5年前から一般向けに無料の工場見学を始めました。工場見学にあわせて、社員が作成した地元マップなどを活用し、地元三富新田の歴史や農産物のPRを行っています。また、マップは学校の授業などで数多く利用されています。
平成26年に工場見学をされたお客様は6,000人に上ります。お客様が来ると良い効果がたくさんあります。お客様に見られることで社員の意識が変わり、職場をきれいにしたり、作業中でも手を止めて、工場見学に来ているお客様にあいさつをしたりするようになりました。
見学者のアンケートでは、従業員があいさつをしてくれたとの回答をたくさんいただいています。お客様に褒められると必ず社員にフィードバックして、更なる意識の向上につなげています。
Q 「ホスピタリティコーディネーター」について教えてください。
A ホスピタリティコーディネーターとは、NPO法人ホスピタリティ推進協会が認定しているものです。決められた講座を受けて試験に合格すると資格を取得することができます。弊社では平成26年7月に特別に講師に出張開講してもらい、職業訓練として社員に受けさせました。現在、20名のコーディネーターがおもてなしのリーダーとして活躍しています。
おもてなし力をさらに向上するには社内だけでは限界があると考え、おもてなしの理論を学び、普及できる人間になるようこの資格を取り入れました。そこで学んだのは、ホスピタリティは一方的では押し付けになってしまうこと、相互満足がないとホスピタリティは生まれないということです。
Q 今後の展望をお聞かせください。
A 工場見学は無料ですが、2~3時間程度お客様の貴重な時間を使っていただくことになります。食品工場などと違って製品をお持ち帰りいただくことはできないので、いかにその時間に見合う感動をお返しできるかが重要と考えています。
三芳町は産業観光が少ないので、2020年のオリンピックに向けて、三富今昔村に行きたいと思ってもらえるようになりたいです。