東武動物公園は、今年で開業33周年、年間110万人のお客様が来園する県内屈指の観光施設です。
遊園地、動物園、夏にはプールと盛りだくさんのレジャーランドとして、テレビや雑誌等で数多く紹介されています。最近では、ホワイトタイガーが大人気です。
また、お客様の夢を叶えるため、様々な企画を立ち上げ実施しており、その取組が評価され昨年11月には、第1回埼玉県おもてなし大賞を受賞されました。
今回は、東武動物公園を運営している東武レジャー企画株式会社業務部の大塚千春さんにおもてなしの取組内容などについて話を伺いました。
Q おもてなしの取組はどのような体制で推進していますか。
A 東武レジャー企画には、総務部、業務部、遊園地事業部、動物園事業部、施設経営部、乗馬事業部の6つの部があり、土日などのピーク時には、アルバイト従業員も含めると約250名のスタッフが働いています。接遇などおもてなしに関する社員研修などはバリューアップ委員会という組織が中心となり、お客様へのおもてなしにつながる様々な企画については業務部が統括しています。
お客様からの御要望や御意見などをアンケートにより調査していますので、アンケート結果を業務部で精査して、各部署に情報を提供し、サービスやおもてなし力の向上を図っています。
Q 今回、第1回埼玉県おもてなし大賞を受賞されましたが、感想などお聞かせください。
A これまでお客様に感動していただける取組を常に考えてきました。平成23年に東武動物公園が開業30周年を迎えた際、「お客様の夢を叶えるお手伝いをします」という企画を立て、お客様から「園内で叶えたい夢」を募集しました。その結果、小学生兄妹による「オットセイショー」への出演、イルミネーションで彩られた園内でのプロポーズ、カバの歯磨き、歌手を夢見る女性が遊園地でライブを行うなど、お客様の夢を実現してきました。それらの取組が高く評価されて良かったです。
Q おもてなしの取組を始めたきっかけを教えてください。
A 動物園、遊園地という日常とは違った空間を有しているということで、以前からお客様から「何々をして欲しい」的な御要望は多かったです。私がこの会社に入社してからもいくつかありました。例えば、「友達の誕生日にサプライズでプレゼントを渡したい」「花火が終わった後に、プロポーズしたい」などといった御相談はよくありました。
最近では、イルミネーション期間中園内の池の前に設置していたハートのオブジェの前で東武動物公園のマスコットキャラクター「トッピー君」が指輪を持ってお客様のプロポーズのお手伝いをしました。
Q お客様へのおもてなしで苦労や注意している点はありますか。
A お客様からはたくさんの御意見や御要望があります。お客様に喜んでいただきたいので、実現可能な夢はなるべく叶えてさしあげたいと思っています。100%はお手伝いできない場合であっても、どのような演出が可能か考えるようにしています。
東武動物公園は、お客様に夢を与える場所、喜びを与える場所だと思うので、それに見合う取組を行うのは大変ですが同時にやりがいもあります。
Q おもてなしに関する社員への研修など行っていますか。
A 平成15年に全部門から8名のスタッフが集まり、業務部長がトップとなってバリューアップ委員会というものを立ち上げました。正社員をはじめ、パートやアルバイトの従業員など現場のスタッフにも参加してもらい、お客様の満足度を向上させるための研修会を行っています。
園内にアンケートボックスを設置し、お客様から様々な声をいただいていますので、あいさつや園内の案内の仕方などでお客様から評判が良かった接遇事例などを委員が選び、「お客様の声掲示版」を設置し、称賛、御意見、御要望などをまとめ、誰もが見やすいように掲示しています。
Q 研修の成果など出ていますか。
A 従業員を対象に、サンクスキャンペーンという企画を立てました。お客様から1日に
「ありがとう」と言われた回数を従業員ごとに申告してもらいその数が多い者を表彰しています。1日で100回近く言われた従業員もいました。お客様にお声がけをし、どのような接客をして「ありがとう」と言われたかを報告してもらっています。たくさん「ありがとう」を言っていただくことで、従業員にとって自信につながると思います。
今後も、おもてなし大賞をいただいたことで社員のモチベーションがアップしているので、お客様から「ありがとう」をたくさん言っていただけるよう、自分たちのおもてなしに磨きをかけていきます。
Q おもてなし大賞受賞後、イベントを開催したようですが、内容を教えてください
A おもてなし大賞をいただくことができたのはお客様のお陰だと思っています。その感謝の気持ちを込めて、1月2日にイベントを開催しました。入園料を無料にして、1円以上の募金で入園していただきました。入場口(ゲート)におもてなし大賞の受賞盾をかたどったオブジェを設置し、埼玉県おもてなし大賞のPRも行っています。
1月2日の入場者数は13,555人で、おもてなし大賞の新聞記事(埼玉新聞)を見て来てくださった方もいらっしゃいました。また、募金は約131万円集まりました。
この募金は、社会福祉法人埼玉県共同募金会を通じ、県内の子どもたちのために役立てていただくことにしました。
Q 今後のおもてなしの取組などについて考えていることがあったら教えてください。
A 東武動物公園では、2014年3月21日にハートフルタウンというエリアをオープンします。お子様向けのアトラクションが増えるので、お子様連れの家族を意識したおもてなしを考えていきます。
また、お客様にアンケート調査を実施しており、多い時で1日50~60件の御意見や御要望をいただいています。たくさんの御提案をいただいていますので、お客様の夢を叶える取組を今後も続けていくことを通して、東武動物公園ならではのおもてなしを行っていきたいと思います。